フェニモア:ランディ・シュテーネ
ゲルダ :ユディス・ハワース
ニールス・リーネ:ペーター・コールマン・ライト
エリック・レフストラップ:マーク・タッカー
領事クラウディ:オーゲ・ハウクランド
ニールス・リーネ:ペーター・コールマン・ライト
エリック・レフストラップ:マーク・タッカー
領事クラウディ:オーゲ・ハウクランド
その妻:アンネッテ・シモンセン
ゲルダの父:ステファン・クーション
リチャード・ヒコックス指揮 デンマーク国立放送交響楽団・合唱団
ゲルダの父:ステファン・クーション
リチャード・ヒコックス指揮 デンマーク国立放送交響楽団・合唱団
店頭や通販を当たって、いずれも空振りだった。駄目もとでアマゾンの中古を当たったら、3つヒットし、その中の一番安いものがあったので、さっそく注文した。発送は四国は香川県高松市。伝票には亡くなったご主人のコレクションを音楽ファンに再販売しているとのメモがあった。ご主人ほどは音楽の興味はなく、その処置に困られた夫人が提供されたものなのだろう。何か身につまされるものを感じつつ、封を開けて聴いてみる。
すでにEMI盤でこのオペラの全曲の音源を持ってはいる。オケと合唱は全く同じ団体。しかし、聴いてみると、英語ではなくドイツ語歌唱。そうオリジナル原語での歌唱だった。あわてて、ケースの表示を再確認してみると、オルジナル原語(ドイツ語)による初録音との表示があるではないか。どうして今までスルーしていたのか、重大な見落としをしていたことに気付く。EMI盤は確か英語歌唱だった。ディーリアスのオペラはドイツ語がオリジナル原語のものが少なからずある。有名な「村のロミオとジュリエット」もそういう作品だった。元来、この人はドイツ人なのである。ただ両親がドイツからイギリスに移住して生まれたので、イギリスの風物に浸かって育ったのだ。そういう綯交ぜというか、コスモポリタン的な傾向の強い作曲家だったのである。オーケストラのラインはこの作曲家独特のノスタルジックなメロディを紡ぎ出す。
内容はニールスという青年が心を寄せた二人の女性の話。しかし、この二人が同時に登場することはない。この演奏では違った歌手が担当しているが、一人の歌手が二人の役を受け持つことが多いようである。青年にしてみれば、よく似た女性を恋したという解釈なのだろう。フェニモアの方は幼馴染だが、いとこに先を越されて恋は成就しない。しかも不幸な別れとなる。数年後出会うゲルダの方はその恋が成就する、そういう物語だが、抒情たっぷりの音楽に聴く者は何か満たされたものを感じる。11場からなるオペラで二人の女性のエピソードの橋渡しに管弦楽でよく演奏される間奏曲が鳴るが、完全な管弦楽曲ではなく後半から歌が重なるのがオペラでの姿だ。イタリア・オペラのように朗々と歌われることはなく、呟くような感じの歌唱だ。
滅多に歌劇場ではかかることはないが、一聴に値する作品だと思う。