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シカゴ・リリック・オペラの夕べ

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>サー・ゲオルグ・ショルティの没後20周年を記念しての発売。その指揮活動初期の録音の中からの一枚です。
シカゴ・リリック・オペラは1954年に創設され、2年もたたないうちにその時代の多くのオペラ・スターたちを輩出し、最初のシーズンにマリア・カラスがノルマ役で先駆的なアメリカ・デビューを果たしたことによって歌手たちに信頼されることとなりました。サー・ゲオルグ・ショルティもニューヨークの名高いメトロポリタン歌劇場ではなく、シカゴで1956年《サロメ》《ヴァルキューレ》《ドン・ジョヴァンニ》を指揮して自身のアメリカでのオペラ・デビューを行いました。 歌っているのは世界中で活躍している歌手たちです。急遽ユッシ・ビョルリングの代役として《アンドレア・シェニエ》をレナータ・テバルディとデュエットしたリチャード・タッカー、同じオペラの「国を裏切る者」を歌ったエットーレ・バスティアニーニ。けれどもこの夕べで存在感を見せつけたのはレナータ・テバルディでした。ソロの役で自身の舞台を作りました(デリラ、タチヤーナ、《メフィストーフェレ》のマルゲリータ)、そしてタッカーとメッゾ・ソプラノのジュリエッタ・シミオナートとのそれぞれのデュエットを歌い、その後キャリアの全盛期を迎えました。
このライヴ・レコーディングがディスクになるまでにはいろいろな経緯がありました。1958年にオリジナルが発売されましたが、契約上の問題で《アンドレア・シェニエ》の二重唱は含まれませんでした。オープニングの《運命の力》序曲はシングルLPに入りきらず外されました。どちらの曲も2009年に発売されたこのコンサートの最初のCD(《1950年代のグレイト・ヴォイス》と題された5枚組DECCAボックス内)には入っていません。そしてやっとその2曲も収録され、完全録音として新しくリマスタリングされ、その時代の最もすばらしい声の数々を一夜限りの記録としてフルで初めて楽しむことができるようになりました。(発売元コメント)

【収録情報】
1. ヴェルディ:歌劇『運命の力』~序曲(シンフォニア)
2. サン=サーンス:歌劇『サムソンとデリラ』~あなたの声にわが心は開く
3. チャイコフスキー:歌劇『エフゲニ・オネーギン』~タチヤーナの手紙の場
4. マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』~「ママも知るとおり」
5. モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』~「恋とはどんなものかしら」
6. ジョルダーノ:歌劇『アンドレア・シェニエ』~「国を裏切る者」
7. ボーイト:歌劇『メフィストーフェレ』~「いつかの夜、暗い海の底に」
8. ポンキエッリ:歌劇『ジョコンダ』~「そして呪いを…私はあの方を宇宙の光のように」
9. ジョルダーノ:歌劇『アンドレア・シェニエ』~「貴方のそばでは、僕の悩める魂も」

ジュリエッタ・シミオナート(メゾ・ソプラノ:2,4,5,8)
レナータ・テバルディ(ソプラノ:3,7-9)
エットーレ・バスティアニーニ(バリトン:6)
リチャード・タッカー(テノール:9)
シカゴ・リリック・オペラ管弦楽団
サー・ゲオルグ・ショルティ(指揮)

録音時期:1956年11月10日
録音場所:シカゴ、シビック・オペラ・ハウス
録音方式:モノラル(ライヴ)

 ショルティがシカゴ交響楽団のシェフに就任するずっと前に、当地のオペラ座に出てこのようなガラ・コンサートに出ていたことを示す録音。現地の放送局によるものかもしれない。歌のみが大きく入り、伴奏部分は少し遠く聴こえる。最初の「運命の力」序曲だけは威勢よく聴こえるが、あざといテンポの変化が必ずしも好みではない。先日のストコフスキーの録音と解釈面では違うが、何か他の演奏とはある意味一線を画すユニークなものだ。アリアの伴奏となると、あまり暴れることはない。イタリアものだけでなく、フランスものやロシアものもあって、変化があってプログラムとしては充実したものだったと思う。終演後の拍手も盛大に入っている。

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