看病疲れなのか、砂川啓介氏が亡くなった。大山のぶ代の夫君で知られているが、個人的にはNHK「おかあさんといっしょ」の体操のお兄さんだった。本業は役者でまだ10代のころ「足摺岬」(吉村公三郎監督・近代映画協会1954年)に出演していた。そのスティルを以て偲びたい。津島恵子扮する女性の弟役。彼らの兄は大陸で戦死。しかし、それは被差別部落出身者のレッテルがあって、「名誉」の戦死ではなく、いっそう苦境に追いやられるというもので、この少年は悲嘆にくれて自殺してしまう。救いようもない暗い内容だった。設定は19343年。だから満州事変での戦死なのである。
明るく快活な人というイメージからは正反対のキャラクターなので初見の時はやや当惑した覚えがある。だがそれが役者の仕事なのだ。因みに河原崎健三も子役で登場。難病を抱えて寝たきりという設定で病死してしまう。