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仕掛人梅安(降旗康男・東映京都1981年)

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 今年は時代劇スターの中村錦之助が亡くなって20年になるという。もうそんなになるのか、と一種感慨深いものがある。同い年の大川橋蔵はもっと前に亡くなっているし、やはり同世代の市川雷蔵に至っては50年近くになる。彼らが現役の時は、超多忙なスケジュールで結果的に寿命を削っていたのではなかろうか。存命であれば錦之助も橋蔵も米寿である。
 
 さて、池波正太郎の原作によるこの物語はテレビドラマや他の俳優による映画が存在している。錦之助がやると聞いて少しイメージが公開当時はわかず、スルーしていた。こうして改めて観る機会を得ると、時代劇らしい雰囲気があっていいものを感じる。それは裏を返せば昨今のスタッフや俳優では満足する時代劇がないということだ。殺陣なんかも、腰が伸びきってとても強そうには見えない。周囲のカラミに斬られてしまいそうに見えてしまう。
 
 東映では当初、萬屋錦之介の友人の沢島忠監督で撮る予定だったという。ところが映画通でもある池波正太郎からそんな監督は知らない、とクレームがついて、降旗監督の登板になったらしい。池波さんは自作の映画化でエロを強調した映画に憤慨して、松竹で撮った監督のことを無能とまで罵った経緯を持っていて、なかなかウルサイ先生だったのである。映画としては特段名作というわけではないが、主役・脇役がそれぞれ風格を出して楽しめるようになっている。意外だったのは元締め役の藤田進。80年代まで現役だったとは迂闊にも見過ごしていた。同じ降旗作品の「冬の華」(1978)には出演していたのは知っていた。資料による錦之助が主演した最後の作品だそうである。

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