ランス・ライアン(T:ジークフリート)
ゲルト・グロホウスキ(Br:グンター)
ヨハネス・マルティン・クレンツレ(B:アルベルヒ)
ミハイル・ペトレンコ(B:ハーゲン)
イレーネ・テオリン(S:プリュンヒルデ)
アンナ・サムイル(S:グートルネ、第三のノルン)
ヴァルトラウテ・マイアー(MS:ヴァルトラウテ、第二のノルン)
マルガリータ・ネクラソワ(MS:第一のノルン)
アガ・ミコライ(S:ウォークリンデ)
マリア・ゴルチェフスカヤ(A:ヴェルグンデ)
アンナ・ラブコフスカヤ(MS:フロースヒルデ)
ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
イーストマン・バレエ・カンパニー
演出:ギー・カシアス 装置・照明:エンリーコ・バニョーリ 衣裳:ティム・ヴァン・スティーンバーゲン
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
「ニーベルングの指輪」の最終話のスカラ座公演。ここのオペラのアンサンブルは古いところではフルトヴェングラーとの共演で有名だったが、21世紀ではバレンボイムの指揮を得て新しい演出で公演、その映像を鑑賞できるのである。 舞台はやや現代化したものだが、バイロイトあたりの極端なものではない。
改めて見直すとジークフリートは愚かな主人公である。ワーグナーはこうした愚かだが実は聖なる存在というのが余程好きなのかと思ってしまう。パルジファルがその典型だが、ここでのジークフリートもまた計略に簡単にかかり絶命してしまうが、指輪をおさまるところに納めてしまう役割を果たしている点では重要である。何か矛盾した人のようだが、それはワーグナー自体が矛盾した人だったのだろう。大作曲家だが、観点を替えると詐欺師でもある。そうした屈折したところが作品にも出ているのではないか。