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ギーレンのマーラー第10番全曲

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収録情報】
・マーラー:交響曲第10番嬰ヘ長調[クック版](77:05)
 南西ドイツ放送交響楽団
 ミヒャエル・ギーレン(指揮)

 録音時期:2005年3月17~19日
 録音場所:フライブルク、コンツェルトハウス
 録音方式:デジタル
 
>マーラーの交響曲全集をすでに完成しているミヒャエル・ギーレンが、今度は交響曲第10番の補筆完成全曲版をとりあげました。ギーレンはすでにインターコード時代の1989年にこの曲の第1楽章を録音していましたが、それから16年を経ての今回の演奏では、その第1楽章だけを較べても、演奏時間が22分13秒から24分46秒に伸びるなど、より細部にこだわったアプローチになっているのがポイント。実際、ギーレンはこんな意味のことを語っています。
 「驚くべきことに、ファクシミリスコアに目を通して得た私の最初の印象は正反対に変化した。つまり、最初に見たときよりもはるかに多くのマーラー的なものがここにはあると感じられるのだ。かつては要らないとまで考えていたフィナーレが、今ではとても普通でないくらいに焼きついている。明らかにクックの仕事はマーラーの精神によって引き起こされたものだった!」
 現在でも、たとえばカーペンター版は退屈だと言い切るギーレンだけに、クック版への評価の変化は興味深いところですが、これにはギーレン自身の指揮者としての芸風の変化、マニエリスティックなまでの細部の掘り起こしといった要素が影響しているとも見て取れそうです。、
 ともあれ、マーラーを知り尽くした指揮者による第10番の全曲演奏、しかもオーソドックスなデリック・クックのヴァージョンがその演奏に用いられたことは、やはりマーラー好きには見逃せないところです。
(発売元コメント)
 
 本当はこちらを先に購入・鑑賞していたが、本家本元の方を優先した。
 
 人によっては「アダージョ」だけであとは切り捨てる考えの人は多い。ブルーノ・ワルターなどは補筆完成には猛反対だったと云われている。それでもスケッチなどがあって、それを組み立てるとそれらしくなるというのであれば、聴いてみたり演奏してみたくなるのだろう。第1楽章の他、第3楽章「ブルレスケ」も1920年代から演奏記録はあったが、他は構成から復元だったみたいである。楽器編成もトロンボーン3本では考えられない和音があって、4本になったとかはものの本で読んだ。そうした作業の中で作曲者自身の筆ではないという批判がつきまとうのだが、ギーレンはクック版にマーラーの精神があると確信して指揮に臨み、実際濃密な演奏に感じられるのは、やはり只者ではない指揮者だと思う。

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