Quantcast
Channel: 趣味の部屋
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

宿無し犬(田中徳三・大映京都1964年)

$
0
0
宿無し犬
 田宮二郎の「犬」シリーズの第1作にあたる。1967年の「勝負犬」まで全部で9本製作された人気シリーズであった。次の「喧嘩犬」の2本がモノクロ作品であとは全てカラー作品。本作と第4作「暴れ犬」が京都撮影所作品で後は全て東京撮影所。京都の方はどちらも時代劇のベテラン監督が担当している一方で、東京の方は中堅・若手の監督が担当しているのも面白い。また、二つの撮影所の違いは脇役陣も出てきて、京都の方は普段鬘を付けて出てくる顔が現代劇をやっている感じもある。そういう細かい違いはあるものの、田宮が扮するのは鴨井大介という拳銃好きのチンピラであること、これに天知茂扮する大坂府警の木村刑事が時折絡むという基本が決まっている点だ。天知は全作品に出ているわけではないが、存在感はある。後は坂本スミ子がレギュラーのように出ているが、こちらは役柄が少しずつ違えてある。

 さて、こうしたプログラム・ピクチュアは若い頃は無視していたが、観てみると当時の勢いのいい社会情勢も相まって、意外とスピーディな筋運びで面白いのである。細かいことを言えば、難点もあるが、そんなことを気にしなければ、楽しめる。9作も製作されたのは、人気があった証拠でもある。京都出身の田宮の巧みな関西弁も生かされていて、喋りの方も面白い。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1029

Trending Articles