これはアメリカのCIAが資金を拠出して製作された映画という。東宝が製作して1952年の4月に公開されたが、最近まで現存しないとされた幻の作品だった。戦後作品でもこのような体たらくだ。ところが米国の公文書館から、タイ向けに字幕が施されたプリントが発見されて、自主上映の形でリバイバルされたものだ。
会社クレジットとスタッフ・出演者のクレジットの代わりにタイ語の説明に差し替えられたもので、しかも一部音声も欠落という不完全な形ながら、何とか筋はわかるものである。こういう内容は意外と少ない。この後、小林正樹監督の「人間の条件」(第5・6部)や山本薩夫監督の「不毛地帯」の前半部分があるくらいである。
自分のような戦争未体験者でも辛い内容である。しかも、当時のソ連の扱いはとても人間の所業ではないことはわかる。国際法にも反する行為であり、平和にする罪が普遍的にあるとしたら、スターリンもヒトラー同様に裁かれるべき存在だと思っている。