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Channel: 趣味の部屋
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お吟さま(田中絹代・にんじんくらぶ1962年)

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 日本を代表する女優・田中絹代は6本の監督作品を遺しているが、本作はその最後を飾るものであり、唯一の時代劇でもある。秀吉に死を賜った千利休にまつわる悲劇の一つだが、ここでは歴史に翻弄される利休の養女・吟に焦点をあてている。女性の悲しさというのがテーマだろうか。

 溝口健二監督の薫陶を受けた成沢昌茂が脚本を書き、やはり溝口監督作品の常連役者として指導を受けた田中絹代が演出するのだから、女の悲しさに焦点を当たるのは当然ではある。しかし、もう少し欲を言わせてもらえば、政治の非情さを出しても良かったのではないかと思うのだが、如何だろうか。

 撮影監督が宮島義勇が担当しているのに注目したい。「宮島天皇」と言れるくらいの人で、映画監督をきちんと監督するのも仕事の一つと豪語するくらいの人だった。また、東宝争議の闘士としても有名で、監督の田中絹代もさぞややりにくかったのではないかと推察する。

 有馬稲子を中心に、仲代達矢、中村鴈治郎、高峰三枝子、滝沢修、岸恵子などが顔を揃えているのも、豪華な顔触れではある。

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