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Channel: 趣味の部屋
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ゲルギエフのショスタコーヴィチ映像から①交響曲第7番「レニングラード」

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 2014年2月16日、パリのサル・プレイエルでのライヴの実況。そうこの全集は全てパリのサル・プレイエルでのコンサートの実況で、フランス国立放送局の手で撮られたものである。したがって、本拠地での収録でないのがミソである。また、全て2013~14年なので、フィリップスに入れたセッション録音とも異なることをまず記しておきたい。

 音だけのCDと異なり演奏する姿が視覚化される分、新たな発見もあるが、オペラやバレエと異なり音楽に集中できない傾向が私にはある。まだ全部は鑑賞していない段階だが、ゲルギエフは曲によってオーケストラの配置を変えているようだ。本作に関しては通常の並び方でヴァイオリン(1st;2nd)、ヴィオラ、チェロの順に指揮者から見て左から配置されている。コントラバスは上手奥。木管の上手側にホルン。トランペット、トロンボーン、テューバはクラリネットとファゴットの後ろで最後列には打楽器が置かれている。また、この曲の第1楽章のオスティナート部分で活躍する小太鼓は左右に配置。また別に控えるブラスバンドは打楽器と同じ並びの下手に配置されている。

 さて、演奏は出だしからから、分厚い低弦の音が強く耳を打つ。音量は弦楽器も金管の咆哮に負けない音をしているのは、ロシアのオケの伝統なのだろうか。第1楽章は某製薬会社の健康ドリンクがハリウッド・スターを使って流したCMに使われた音楽としても有名だし、バルトークが自作の管弦楽のための協奏曲でパロディで使ったものとしても有名なもの。ここでもゲルギエフは真面目に取り組んでいる。曰く、戦争で命を危うくした人たちの代弁をしたのがこの曲というので、次第に大きくなるそのテーマは押し寄せる恐怖の象徴なのかもしれないと思った。レニングラード初演の時に、載った奏者たちは飢えで痩せこけ、歩く骸骨のようだったという。そういう瀕死の思いでこの大作を演奏したエネルギーは人々を奮い立たせたらしい。ゲルギエフ曰く、戦場描写の音楽では決してない、そういう解釈は皮相的なものと言った事前解説は印象的だった。

 この作品のスコアは機密文書扱いでマイクロフィルムに収められて、カイロ経由でアメリカに運ばれて、1942年にニューヨークで初演されている。その音源がトスカニーニ盤である。

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