前作「仇討ち」から3年の沈黙をおいて、撮ったのが本作である。封建時代の社会矛盾という堅いテーマから一転現代の風俗ものである。曽野綾子がアメリカの女優マリリン・モンローの死にインスピレーションされて作った小説の映画化。華やかなスターの世界の裏面を描いた風俗ものだが、周囲に理解されない女性の悲しみみたいなものが本筋だが、あまりそれがうまく伝わってこない。周囲に翻弄されるヒロインはかわいそうな人物だが、己をしっかり持っていないから自業自得みたいなふうにも映ってしまう。いや、今井監督はそういうことに力点を置いていたのかもしれない。だから、たいへん突き放した描き方だから、あまり共感も呼ばないものになってしまっているのは、残念に思う。
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