藤原審爾の小説の再映画化作品。1963年に中平康監督が日活で撮ったものが最初で、こちらは山口百恵と三浦友和共演のシリーズの1本。ここでは富本壮吉監督が担当している。
普通アイドル映画というと可愛く明るくというイメージが強いのだが、この映画はかなり陰惨で後味が悪い。中平版はかなりきれいごとで終わっているが、こちらは暴力団の内部抗争がそのままになっている。山口も外交官の娘にしては、考え方がひどく幼稚に見えてデクに見える。むしろ、ここでは三浦友和の孤独な境涯がクローズアップされている。こちらの方が主人公といった趣である。ヒロインの乳母はおそろしいほどの拝金主義で、差別意識も極端だ。ここらあたりがかなり図式的になってしまっている。ここらがこの手の映画の限界かもしれない。ヒロインよりも石橋蓮司や内田良平の強面の面々の場面の方がそれらしくて面白い。