これは1945年4月15日に公開されたアニメーションである。割とスムーズに絵が動いているのは驚きである。内容は明らかにインドネシアを占領して、日本化するということを表している。敵は鬼だが、白人であり、英語を喋るし、角もあるのが御愛嬌だ。ユーモアが不足して真面目すぎるが、戦時中に既にこうした技術があったことは驚異であると思う。もっともアメリカのディズニー作品に比べたら、差異は相当ある。スタッフは戦地で接収したフィルムの中にあった「ファンタジア」を観た人がいたという。カラーでかつ、アニメーション技術の高度なのに、驚いたという。そこで、アメリカとの戦争は勝てないと悟ったようだ。それは「風と共に去りぬ」を観た人たちと同意見だったようだ。
ここでは殆どが擬人化した動物たちが、やっているのでファンタジー的な面はある。手塚治虫は公開当時観ていたいう。それを「ジャングル大帝」に反映したと言われる。作品の中で、「アイウエオの唄」があるが、似たような唄が「ジャングル大帝」にあるのは、この作品へのオマージュなのだそうだ。
この作品が直接戦後の東映動画に繋がっているかは不明だが、クールジャパンの根っこを観る思いがした。