15年ぶりに復活したガメラ作品である。永田大映時代に起死回生策の一つとして登場したものの、コストがかかる特撮ものはかえって当時の大映の財務体質を却って悪化させてしまった。経営破綻で、京都製作の大魔神ともどもスクリーンから消えてしまった。1980年に一度新生大映で復活したが、やはりコストがかかった割には評判にならず、単発で消えてしまった。
それから、数年経過して今度は平成時代になって、円熟期に入った金子修介監督によって、復活してファンに支持されて全部で3つの作品が生まれた。これはその「平成ガメラ」シリーズの第1作である。旧作とは全く違った設定で、撮影方法も新しい技術が採用されて見ごたえのある作品に仕上がっている。1965年に製作された作品よりも緻密な仕上がりに感じる。対する怪獣ギャオスも旧作シリーズに登場した懐かしいものだが、1967年の作品よりも凶暴な感じになっているし、複数登場している。そして、この怪獣たちは古代人の遺物で、困ったもの置き土産という設定。それは現代人の残しつつある後世への困った「遺産」の告発にもなっていて、単なる怪獣映画になっていないのは、1954年の「ゴジラ」と同様である。
今回はその「ゴジラ」を製作した東宝の上映ルートを使っての公開であった。ファンの中にはゴジラとガメラとの対決を期待する向きもあったが、さすがにその企画はなかった。金子修介監督は日活のロマン・ポルノから出発した監督だが、しっかりドラマ構成を身につけて実績を積んでいる監督。「ゴジラ」映画も撮っている稀有な存在でもある。