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Channel: 趣味の部屋
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氾濫(大映東京1959年)

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氾濫
 
 伊藤整の小説の映画化。研究一筋の技師はその功績で重役に抜擢されるが、妻がピアノ教師と不倫、娘もその技師に近づいた大学助手と行くところまで行く。本人も戦時中に懇ろになった女性が近づく。そういう人間関係を増村保造監督らしいドライでかつスピーディに描く。日本映画にしては珍しいイタリア映画風な味わいのする作品である。
 
 登場人物はどれも自分本位で倫理観がどこか欠如しているような人たちだ。主人公の技師の務める会社の社長は、これまた経営者としてはあるまじき姿勢で、利用するだけ利用し、部下は奴隷と思っている。儲かれば何をやってもいいという男だった。しかし、他の人物は大なり小なり似たような人物ばかりである。タイトルはそうしたモラル欠如の氾濫という意味合いであろう。

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