イルカの追い込み漁は以前から、論争が起きていた。記録映画にもなったし、シーシェパードの過激な破壊活動も話題になった。しかし、ここしばらく静かな状況だったように思う。
しかし、突如アメリカのメディアからまたこの話題が飛び出してきた。中味はそう新味のあることではないが、発端は駐日大使となったキャロライン・ケネディ女史のツィートだった。アメリカ政府の代表として、この漁に反対し、非人道的な行為を懸念するというものだ。名門出身の大使が発言したのだから、俄かに騒がしくなったのだと思う。
この人は政治行政経験はないという前評判だったが、やはりそれが災いしたようではあるし、こういうことを軽々しく発言するといろいろと難しい摩擦を起こすことを知らないと見える。
元々、人間は自然にある動物・植物の命を獲って、生活するものである。生きるためにそうしている。木や花を折り、動物は殺して、その生命をいただくのが実体である。英語のコメントなんか見ると、「伝統を免罪にしている」とか書いてある。中には戦犯国のやることだと全く見当はずれのものまである。
クジラにしろイルカにしろ、シーシェパードの連中以外でも自分らはそんなものの殺戮には無関係というような顔をしている連中も多い。でもメルヴィルの小説を持ち出すまでもなく、欧米人もクジラをかつては大量に捕獲していたものである。ペリーが日本に開国を迫ったのも、アメリカの捕鯨船の水食糧確保の港が必要だったからでもある。彼らはクジラの肉は食さなかったが、ランプ用の油として鯨油を必要としたのである。ランプが他のものに代替されたがために捕鯨は衰退したというのに過ぎない。
ケネディ大使の発言はあまりにも近視眼的であり、こちらとしては呆れるしかないのである。