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Channel: 趣味の部屋
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東京ジョー(アメリカ1949年・スチュアート・ハイスラー)

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 日本を舞台にしたアメリカ映画。1949年10月に本国では公開されているが、本邦封切は何と1993年12月18日とのことである。撮影は前年の秋にされているようで、出てくるのは紛れもなく、戦後の東京そのものである。ただ、映画を観るとハンフリー・ボガートは日本には行っていないようで、スクリーンプロセスで処理されていて、東京での場面はスタジオか、後ろ姿の代役で済まされているようだ。

 実は前から知っていた訳ではなく、通販の一覧表に安価で出ていて、ボギーの東京ジョーというのが目を惹いたからだ。監督のスチュアート・ハイスラーという人も初めて。しかし、脇役には早川雪洲が悪役として登場、貫禄のあるところを見せている。また、主人公の日本人の友人・伊藤役は島田テルという日本の俳優。この人は「007は二度死ぬ」(英1967年)に大里という悪役で登場しているが、もうこの時期にはハリウッドで活躍していた。他に「タイムトンネル」のカーク所長役だったホイット・ビッセルなんかも出ている。ストーリーは早川扮する旧・華族の男が朝鮮にいる3人の戦犯を呼び戻して、クーデターを画策する。主人公にその輸送を強要するが、いろいろと脅迫するが、GHQと協力してその策を粉砕するという活劇。話自体はさほど珍しくはないが、本筋よりも画面に出てくる1948年当時の東京の実写が興味をそそる。今と比べてしまうが、空襲を受けて高い建物は少ない。日本の風俗もハリウッドものにしてはましではある。しかし、女中が振袖のよそ行きの服装していたりするし、日本語の発音も少し違う。普段英語を喋って暮らしている日系人のそれである。数シーン、ソウルが出てくるが、朝鮮人の男性は李氏朝鮮の昔の服をきていたりするのも違和感はあった。

 この作品がすぐに日本で公開されなかったのは何故か。風俗描写に自信がなかったということではなさそうだ。多分、旧勢力のクーデターというのが出てくるのが、占領下ではまずかったのかもしれない。それにしても1993年とは時間が経過しずぎである。それもひっそりと公開されたそうである。

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