1..鉄工場 Op.19
2..ピアノ協奏曲 第1番 Op.14
3..コルホーズにトラクターが到着
4..チェロとピアノのための「伝説」Op.5
5..ピアノ・ソナタ 第1番 Op.3
6.4つの新聞記事 Op.21
演奏: シュテッフェン・シュライエルマッハー(ピアノ・・・・2,4,5,6)
リンゲラ・リームケ(チェロ…4)/ナターリヤ・プシェニチニコワ(ソプラノ…6)
ベルリン放送交響楽団/ヨハネス・カリツケ(指揮)(1~3)
録音 2014年2月 ベルリン ベルリン放送局
録音 2014年2月 ベルリン ベルリン放送局
全曲を通じて力強い音の応酬に終始し、いかにも「社会主義リアリズム」を具現化したような力強い音楽です。作曲家のアレクサンドル・モソロフ(1900-1973)は現代音楽協会の室内楽部長を経て、放送局の音楽編成を務めた人ですが、様々な理由をつけてロシア音楽界から追放され、最終的には「反ソビエトのプロバガンダ」を理由に逮捕され、強制労働に送り込まれてしまい、生還後も厳しい生活を強いられました。彼の名誉が復権するのは、死後まもなくでした。また彼の作品の一部は破棄を強いられたとも言われ、現存する作品はあまり多くありません。そんなモソロフの作品を演奏するのは、奇才ピアニスト、シュライエルマッハー。また当時の新聞記事をそのまま歌にしたという「4つの新聞記事」も含め、実に興味深いアルバムとなっています。(発売元コメント)
モロソフの作品は巻頭の「鉄工場」は聴いたことはあるものの、他は初体験。きっと体制御用作曲家だろうと思っていたら、その逆だったこともこの度知ったような始末である。それでも、彼はソヴィエト政権に忠実なつもりだったのではないか。何も悪いことをしていないのに、ならず者にされてしまった、と嘆いていたそうだが、そういうことを平気でやったのがスターリンとその時代のソヴィエト・ロシアなんだろうと思う。彼らはナチス政権同様に犯罪的な集団であり、かつ非人間的な権力者だったとつくづく思う。
カプリッチオならではの企画で、以前ブゾーニなどの作品群も出していた。今回演奏しているのはハインツ・レーグナーなどが指揮していた、旧東側の放送局のオケである。壁崩壊後、メンバーもかなり入れ替わったりしているだろうが、それでもまだその当時の楽員も残っているのではなかろうか。そういう人たちはどういう思いで、演奏したのだろうか。