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Channel: 趣味の部屋
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ワーグナー生誕200周年を巡って

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 ワーグナーということになると、必ず出てくるのは、ヒトラーとナチスである。無論ワーグナー自身は、ナチスのナの字も知らずに亡くなっているが、彼の反ユダヤ的な発言や姿勢がリンクされているし、ヒトラーがワーグナーの遺族たちと深く交わってもいる。
 
 しかし、そういうことよりも彼の偉業という側面と彼の人間性や彼の作品に込められているものには暗いマイナス面があるのも事実だ。1848年当時彼は官憲からはお尋ね者であり、債権者からは借金を踏み倒したとんでもない男だったのだ。他人の妻を強奪したりもしている。作品は他の誰よりもゲルマン的である。ベートーヴェンやモーツァルトの出身地はローマ帝国の町であったが、ワーグナーの出身地のライプツィヒは帝国の埒外にあって、ゲルマンの蛮族が跋扈していた地であると説明を受けたことがある。本源的な血のようなものは、ユダヤなどの他文化を拒絶する面があったのかもしれない。
 
 ワーグナー嫌いという人も周囲には多い。同じ年生まれのヴェルディとはかくも違うものかとつくづく思う。

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